地福寺(気仙沼)

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2021年1月1日金曜日

謹賀新年

謹賀新年

地福寺 住職 片山貴道

地福寺檀信徒の皆様には、新年をお迎えになられて謹んでお慶び申し上げます。昨年は先住、秀光和尚より法を受け継ぎ、住職を拝命しました。また、新型コロナウイルス蔓延の為、社会全体が何もできない事態となってしまいました。お寺の行事も中止を余儀なくされ、皆様には多大なる御迷惑をお掛けし深くお詫び申し上げます。

今もまだコロナ禍であり、戸惑いながら生活していることと思います。禅語に「看脚下(かんきゃっか)」という言葉があります。ある禅僧が三人の弟子を連れて行燈を持ち、暗い夜道を歩いていると、一陣の風が吹いてきて、その灯が吹き消されて真っ暗になってしまいました。そこで三人の弟子たちに向かって質問しました。「暗い夜道を歩く時は明かりが必要だ。その明かりが今消えてしまった。さあお前たち、この暗闇の中どうするか」と。

ここでの暗闇とは、行先の見えない世の中をどう生きるかという問いです。詳細は省きますが、弟子の一人は「すべてがうまくいく」と楽観的な考えを答え、二人目の弟子は「すべてがうまくいかなくなる」と悲観的な考えを答えます。それに対し三人目の弟子は「足元をよく見て歩きます(看脚下)と答えたのです。それを禅僧は「その通り」と認めたのです。コロナ禍においても、先のことを想像して楽観的、悲観的に考えるのではなく、まずはまさに「足元を見る(今あるものをしっかりと捉える)」ということが大切なのです。

今年は丑年でございます。「丑」は「紐」(「ひも」「曲がる」「ねじる」の意味)で、芽が種子の中に生じているものの、出かかって表面に出てきていない状態を表しているといわれており、芽吹きを迎えようとする年であります。また、本年は東日本大震災から十年という節目を迎えます。毎年、追悼のイベントを企画して下さっております、福聚寺様が震災十年追悼として、様々計画をしていただいております。追悼行事が無事圓成するため、一日も早いコロナウイルスの収束を祈るとともに、皆様方のご多幸をお祈り申し上げます。