「取るつかむ 手を休めての 彼岸かな」
彼岸会は一般にお彼岸といわれ、春分の日と秋分の日を中心として、その前後三日間の計七日間のあいだに、お墓参りなど先祖供養をする行事だと思われていますが、本来は「仏教の実践週間」というべきものなのです。
この彼岸とは、梵語(ぼんご)のパーラミター(波羅密多)を意訳した「到彼岸(とうひがん)」を略したもので、迷いや悩みの多い私たちの住む世界(此岸:しがん)から、理想とする人間完成の悟りの世界(彼岸:ひがん)に至るために実践しなければならない六つの徳目(六波羅蜜:ろくはらみつ)を実行する期間なのです。
六波羅蜜とは、
1.布施:ふせ(執着をなくしましょう)
2.持戒:じかい(心を制しましょう)
3.忍辱:にんにく(苦しみを乗り越える力を養いましょう)
4.精進:しょうじん(正しい生活のために一生懸命努力しましょう)
5.禅定:ぜんじょう(心を落ち着けましょう)
6.智慧:ちえ(真理に目覚めましょう)
ーのことで、この行を修した結果、彼岸に至ることができるというものです。
彼岸の期間中、各家庭では仏壇をきれいにして、新しい花や団子、おはぎ、それに故人の好きだったものをお供えします。また、お墓参りに出かけ、お墓を掃除して、花、線香、お水、供物などを供えてお参りします。
こうした先祖供養は、故人への追慕とともに、故人の善行を自分自身の人生の糧とし、また故人の悪行は自身の反省と懺悔とみていくことが大事なのです。そして、こうした故人のおこないを常にわが身に照らして、明日の活力を養う基とすることが”彼岸の心”と理解しておきましょう。
(わが家のまつりごと 臨済宗の仏事 監修:松原哲明 龍源寺住職 世界文化社 より抜粋)
境内に目を向けると、秋明菊が咲いていました。写真の白い花のほか、紫の可憐な花も多く咲いております。地福寺にお越しの際にはぜひ探してみてください。
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