この涅槃図は、2011年の東日本大震災で被害を受けましたが修復をし、ご覧の状態に復元しております。(以下、涅槃図について再掲)
お釈迦様が涅槃に入られる時の姿を描いたものを涅槃像(涅槃図)と言います。
この絵像には立ち並ぶ沙羅樹の半分が枯れているのですが、お釈迦様の入滅に樹も悲しみ殉じたものだといわれています。また、もう半分の沙羅樹が枯れずに青々としているのは、母、摩耶夫人が兜率天(とそつてん、天上界)から雲に乗って回生の霊薬をもたらされたが、間に合わないので従者に投下させられた時に、樹に引っかかりその霊気を感じて蘇生したためといわれています。
この沙羅双樹の半分枯れ、半分蘇生した姿を「四枯四栄」(しこしえい)と言い、右側の四本は幹・葉とともに黄色または白(鶴林かくりんとも言う)で枯れる姿をあらわし、左側の四本は幹、葉とも緑色で青々とした世紀をあらわしており、また赤色で描かれている場合もありますがこれは栄えるという意味です。
※葬式で白と赤の紙華を供えるのは、この「四枯四栄」をあらわしたものです
また、中央に宝床を設け、お釈迦様が右脇を下にして臥され、それを取り巻く弟子や菩薩、諸天善神から鳥獣昆虫に至るまで、一様に嘆き悲しむ様子が描かれていますが、これは三界一切の生き物をあらわしたもので、仏教が人間だけを救いの対象としていない、ということがよくわかります。
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